債務承認弁済契約と収入印紙
(1)債務承認弁済契約とは?
債務承認弁済契約とは、既に発生している債務について、その債務を承認したうえで、弁済を約する契約です。
既存の債務は、売買契約、金銭消費貸借契約などの既存の契約関係から発生したものだけでなく不法行為に基づく損害賠償債務などの契約関係以外の事由により発生した債務でも構いません。
例えば、今までに貸した金額が高額になってきたので、その数回分すべての債権につき、当事者間の権利関係を改めて文書で残しておこうとするような場合などが考えられます。また、債務承認弁済契約は、既存債務についての弁済契約ですから契約書にする場合、その既存債務を特定しておくことが必要です。
なお、債務承認弁済契約は既存債務を前提としていますので、原契約の成立後であることを要しますが、原契約の直後であれば原契約とは別に、契約を締結することが出来ます。
また、債務承認弁済契約は、既存の債務を承認するものですから、当該債権はこれにより時効が中断されますが、これによりそれまでの債務の性質が変わるものではありませんので既存の債務が、商行為による貸金債権の場合は5年、一般の場合は10年の消滅時効期間は変わりません。
この契約書を強制執行認諾条項付公正証書にした場合、裁判手続を経ることなく強制執行手続をとることが可能です。
(2)収入印紙の税額は?
ご質問の債務承認弁済契約書は、既に締結されている消費貸借契約について、現に負担する債務の弁済方法を定めるもの、すなわち当初の消費貸借契約の内容の重要事項である弁済方法又は対価の支払方法を変更するものですから、原契約書と同一の第1号の3文書(消費貸借に関する契約書)に該当します。
この債務承認弁済契約書は、既に成立している消費貸借契約について、弁済未済額を確認するとともに、弁済期限を変更するものであり、契約金額(借用金額)を変更するものではありません。また、この契約書に記載されている金額は、既に成立している契約金額であり、この契約書によって新たに成立する金額ではありません。
したがって、この契約書は、契約金額の記載のない消費貸借に関する契約書になります。 (印紙税額は200円)
【注】なお、同じような名称を用いた文書でも、原契約書で契約金額の定めがない場合や、原契約が口頭契約であるような場合には、その文書によって契約金額を証明しようとすることになりますから、たとえ債務承認金額と表示されていても、これは単なる債務承認に係る金額とはいえないことになります。したがって、このような場合は契約金額の記載のある消費貸借契約書として取り扱われますので注意が必要です。
(2)収入印紙が貼っていない契約書は無効か?
収入印紙が貼ってあるかどうかは、借用書や金銭消費貸借契約書の効力には影響を与えません。貼っていなくても、契約自体は有効になります。
ただし、法定の金額の収入印紙を貼らないと、印紙税法違反に問われます。
(印紙税法第20条)
収入印紙の貼り忘れの罰則は、法定の印紙金額の3倍額を納付しなくてはならなくなります。(全額が経費にはなりません。)

