2008.07.09

相続等における財産評価方法が改正

相続税や贈与税で税額を計算する場合、相続、贈与された財産の価額を評価する必要があります。その財産が金銭のみという場合は悩まずにすみますが、実際は、有価証券、宝石、骨董、土地、家屋、自動車、諸権利など、さまざまな財産が相続、贈与されます。そのような場合に基準となるのが国税庁の「財産評価基本通達」です。

 その「財産評価基本通達」が改正されています。今回改正されたのは、以下の財産の評価方法です。
1.観覧用の鉱泉地
2.果樹等
3.森林の立木以外の立木等
4.一般動産
5.牛馬等
6.船舶
7.営業権
8.取引相場のない株式等

 このうち、注目されるのは4の一般動産についての改正です。一般動産とは、相続税や贈与税が課される動産のうち、たな卸商品等、牛馬等、書画骨董品、船舶など、個別に財産評価方法が定められている動産以外のものをいいます。具体例でいえば、自動車、家電、家具、時計、建物付帯設備などです(骨董価値のあるものや建物と一体になっている設備は除かれます)。

 従来、一般動産の財産評価は、原則として「調達価額」(中古価格)によって評価されていました。これが、今回の改正で「売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する」ことに変わりました。
 最近は自動車などの中古市場が充実してきており、インターネット等の普及によって、納税者が売買価額を把握することも容易になったということが改正の理由とされています。

 なお、国税庁の説明資料では、このことの注として「納税者の把握が比較的容易な業者等への売却価額に相当する金額」を一般動産の評価額として差し支えない」としています。
 つまり、これまでは中古品の購入見込み価額が評価額でしたが、今後は業者への売却見込み価額が評価額になるわけです。一般的には後者の価額の方が安いのが常識ですから、納税者に有利な改正ということになるでしょう。
 ただし、相続税などを安くしようとして、異常に安い価額で引き取る廃品業者などの見積価格等を評価額としても、認められないケースが多いと思われます。

 なお、売買実例価額等が明らかでない場合には、これまで通り、同種同規格の新品の課税時期における小売価額から、製造の時から課税時期までの定率法により計算した償却費の額又は減価の額を控除した金額により評価することとされています。

2007.04.05

相続と相続登記

  国税庁の統計情報によると、平成16年度に相続税申告書が提出された相続において、被相続人4万3488人のうち約96%にあたる4万1599人が相続財産として土地を残しています。また、家屋や構築物を残した人も約91%にあたる3万9562人もいました。

 土地や建物などの不動産を相続で取得するということは、不動産の持ち主が変わるということです。通常、不動産の持ち主が変わったときには不動産登記をします。特に相続によって不動産を取得した場合は「相続登記」といって、「相続を原因とする権利関係の変動」があったことを公示することになっています。

 ただ、実はこの相続登記には義務も期限もありません。相続税申告の場合は「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うこと」と決められていますが、相続登記はしてもしなくても良く、またいつしても良いのです。

 そのため、相続によって不動産を取得しても相続登記をしない人や先延ばしする人がいます。前述の通り相続登記は義務ではありませんから法的に罰せられることはありません。しかし、相続登記をしない場合にはさまざまな不都合やトラブルが生じる場合があります。

 まず、相続登記をしなければその不動産を融資の際の担保にすることができません。また、売却をすることもできません。すぐに資金が必要な場合に支障が出るわけです。      

  もっと問題なのは相続争いが生じてしまう(再燃する)可能性があるということです。というのも、法定相続分通りに相続財産が分割された際の相続登記には「遺言書」や「遺産分割協議書」が不要となるため、法定相続人であれば他の法定相続人の了解が無くても、自分の相続分について相続登記をすることができるようになっています。

 そして、それが悪意をもって行われ、さらにその相続分が善意の第三者に譲渡されてしまったような場合、その相続分を取り戻すのは非常に困難なのです。各種判例でも、こうしたケースでは本来の持ち主よりも善意の第三者の権利が優先するとされています。また、詐欺などによる同様の事例も無いわけではありません。

 また、このような争いはすぐに生じなくても、相続登記がされないまま世代が重ねられていった場合、さまざまな問題を引き起こす火種にもなりかねません。

 相続登記に限らず登記というのは自ら、そして家族の権利を主張し守るためのものでもありますから、できるだけ早く行うことが望ましいのです。

2005.12.05

離婚による財産分与で居住用財産の特別控除は適用可能

テレビ朝日で放送中の秋ドラマ「熟年離婚」(渡哲也主演)の視聴率が好調だそうです。

 現在、日本では少子高齢化が問題になっていますが、高齢化社会の進行に伴い、熟年離婚は増加の一途だそうで、ここ10年で同居期間が25年以上の熟年夫婦の離婚は2倍以上、同居期間30年以上になると3倍近くも増えているとのことです。

 ところで、熟年離婚ともなると、それなりに財産の蓄えがあるケースが多いため、財産分与に関わる税金問題は意外と深刻です。

 離婚に伴い配偶者の一方から他方に財産分与があった場合、受け取った側には税金(贈与税)は課税されません。また、現金等の分与であれば分与した側にも税金は発生しません。しかし、分与した財産が譲渡所得の対象となる資産(土地や建物など)だった場合は、時価で資産を譲渡したものとみなされて譲渡所得が課税されます。特に熟年離婚で住宅などを分与した場合、住宅ローンの支払いを終えていて、また、時価が取得価額を大きく上回っているケースが多いため、譲渡所得が発生する可能性が高いといわれています。

 財産を分与した上に税金を納めなければならないとなると、分与する側は大変です。そこで、少しでも節税したいと考えるのが人情ですが、分与した財産が住宅の場合、居住用財産の3000万円特別控除の特例が使えますし、10年以上所有していた居住用財産の場合は長期譲渡の低率分離課税の特例も利用できます。この2つの特例は条件として「資産の譲渡先が配偶者など、特殊関係者である場合には適用されない」ことになっていますが、特殊関係者であるかどうかは、譲渡したときの状況により判定することになっていますので、離婚後の譲渡であれば問題ありません。

2005.10.20

購入後すぐ売却した自宅の3000万円特別控除の扱い

今年8月、東京・茨城間に「つくばエクスプレス(TX)」が開通しました。第3セクターの鉄道としては割と料金が安いこともあり、同沿線は住宅地としての人気も上々のようです。事実、国土交通省の2005年7月1日時点の都道府県地価調査(基準地価)でも、「鉄道新線の影響により、守谷市が全体で上昇となり、八潮市、流山市等においても上昇地点が現れた。 」と総評されています。

 マイホームを考えている人にとって地価上昇は必ずしも嬉しいことではありませんが、夢のマイホームは「上向き」の場所にというのも人情でしょう。

 ところで、マイホームを購入しても、仕事の都合などでどうしても売却しなければならないケースはあるものです。仮に、マイホームを売却することになった場合、注意しなければならないのが譲渡所得税です。特にTX沿線など地価が上昇傾向にある地域では、売却価格が購入価格を上回り譲渡所得が発生する可能性があるからです。

 譲渡所得が発生した場合、節税対策として利用したいのが「居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例」、いわゆる3千万円控除です。ただ、同控除制度は「その人が生活の拠点として利用している家屋」とされていることから、長期にわたり居住している住宅を売却した場合にだけ適用できる制度と思っている人がいます。TX沿線で住宅を購入した人などには、居住してまだ間もないことから、同控除制度が適用できないのではないかと思っている人がいる可能性もあります。

 しかし、これについては、国税当局が「一時利用を目的とする家屋は3千万円控除の適用対象外だが、居住していた期間の長短に関しての制約はない。生活の本拠として利用していた家屋ならば問題なく適用できる」としていますので心配はいりません。
今年8月、東京・茨城間に「つくばエクスプレス(TX)」が開通しました。第3セクターの鉄道としては割と料金が安いこともあり、同沿線は住宅地としての人気も上々のようです。事実、国土交通省の2005年7月1日時点の都道府県地価調査(基準地価)でも、「鉄道新線の影響により、守谷市が全体で上昇となり、八潮市、流山市等においても上昇地点が現れた。 」と総評されています。

 マイホームを考えている人にとって地価上昇は必ずしも嬉しいことではありませんが、夢のマイホームは「上向き」の場所にというのも人情でしょう。

 ところで、マイホームを購入しても、仕事の都合などでどうしても売却しなければならないケースはあるものです。仮に、マイホームを売却することになった場合、注意しなければならないのが譲渡所得税です。特にTX沿線など地価が上昇傾向にある地域では、売却価格が購入価格を上回り譲渡所得が発生する可能性があるからです。

 譲渡所得が発生した場合、節税対策として利用したいのが「居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例」、いわゆる3千万円控除です。ただ、同控除制度は「その人が生活の拠点として利用している家屋」とされていることから、長期にわたり居住している住宅を売却した場合にだけ適用できる制度と思っている人がいます。TX沿線で住宅を購入した人などには、居住してまだ間もないことから、同控除制度が適用できないのではないかと思っている人がいる可能性もあります。

 しかし、これについては、国税当局が「一時利用を目的とする家屋は3千万円控除の適用対象外だが、居住していた期間の長短に関しての制約はない。生活の本拠として利用していた家屋ならば問題なく適用できる」としていますので心配はいりません。